ラヴリィな存在達について
sporeでは巻頭にインタビューを掲載していますが、今号では田口賢司さんをインタビューさせていただきました。1994年に発表された『ラブリィ』は文芸評論家・福田和也さんに「90年代最高の傑作」と評され、一昨年に発表された『メロウ』は浅田彰さんが審査員を務められた第14回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞しています。実は個人的にも田口さんの以前からのファンでして、『ラブリィ』以前の『ボーイズ・ドント・クライ』や『センチメンタル・エデュケイション』も愛読していました。
また田口さんはTVプロデューサーとしてのキャリアをお持ちの方で、現在はジェイ・スポーツ・ブロードキャスティングにて『Foot!』や『バルサTV』のプロデュースをされています。ですから、ちょっと異色なキャリアを持つ作家の方と言ってもいいかもしれません。それはキャリアだけではなく、小説の作品においても当てはまります。物語の構造が消滅しかかったところでの散文詩的な言葉、あるいはすぐさま目の前に浮かび上がってくるような鮮やかなイメージ、そして非常に独特である空虚さ。そういったものがセンチメンタルさやユーモアを伴ないながら響いてきます。
そういった特徴のある田口さんの作品はどのようにして生まれるのか?このことに僕自身以前から興味があり、その点についてインタビューをしたいと考えていました。また、僕自身かなりのサッカーファンであり、田口さんのTVプロデューサーとしての在り方も聞いてみたい、そしてテレビをつくることと小説を書くことの相関性みたいなものはあるんだろうか?なんてことを田口さんにインタビューにて聞いてみました。今号における田口さんへのインタビューでは小説とサッカーにまつわる"ラヴリィ"な言葉を頂けたのではと考えています。是非ともご一読頂ければ幸いです(小島)。
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sporeのようなテーマ主義の本にとって、雑誌の顔ともいうべきカバー(表紙)は重要な意味を持つ。特に恋愛という直球な特集を組むからには、カバーにも全体を引っ張っていくインパクトがほしい。そんな僕たちの思いを今回形にしてくれたのが笹俣房子という写真家だ。
彼女はカンボジアと中国の両親の間に生まれ、フランスで育った。手に職をつけて欲しいという両親の意向から薬学を学ぶ一方、学業と並行して、恋とセックスをテーマにした自伝的なマンガを執筆。そのマンガは大きな注目を浴びた。コミック・アーチストとしてのキャリアをスタートさせた彼女は、敬愛するフランス人コミックアーチストと親交を深め、彼の住む日本に来ることとなる。そして一昨年の冬、彼女はそのコミックアーチストに誘われて、世田谷のカフェで行われたsporeのイベントにやって来た。そこでぼくは初めて彼女-オレリア・オリタに出会った。
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