早い春の強い風に吹かれることをいいことに
空腹を原動力に、髪もとかさず外へ出る午後4時。
モス・バーガーの外に立てかけられたメニューを
強風の中、しゃがみこんで眺めているうちに
頭はまんまと天然エアリー・ヘア。
モス・チーズバーガーというのを食べ終わり、
メモ帳の隅にこそこそと駄文をしたためているうちに、
天気は気象庁の予報どおりに下り坂。
バラバラと雨が降り出し、厚かった曇り空がより一層
濃いグレーで覆われていく。
当たる天気予報もあるものなのかと感心することしきり。
メモ帳の駄文は何ひとつわたしの人生を予言しない。
平日の夕方をこんなふうに過ごす優越感は
夜の訪れと共に罪悪感にも似た色で染まっていく。
冷えたホット・ウーロン茶を飲み干しても
求める答えがマグカップの底にあるわけでもなく。
捨てきれない何かが心の中に、また染み付いて
行くのを、茶渋を眺めながら感じたり。
ひとり気ままに自由なはずなのに、気がつくといつも
何かを待っているような心もとなさは、今日も
どこかからやってきて、ウーロン茶がカップに作った
輪染みのように、わたしに染み付いていく。
ほんの少し いつもより風の強い
冬と春のはざ間の一日が
夕方と夜の一分が
わたしをこんなにも取り残された気分にするのは
何故だろう。
振り向けば他に客人もおらず
取り残されたのは気分じゃなくて事実だと知るのは
すぐ後のこと。
(山名美穂)