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2005年06月 アーカイブ

2005年06月23日

瞳孔を突き刺すもの

ジャパン
30回分の賞、36人の作家、約400点の作品。先日、「時代を切り開くまなざし -木村伊兵衛写真賞の30年-」を川崎市民ミュージアムに観に行った。第1回の1975年の受賞作から第30回の昨年の受賞作までの、かなりの膨大の作品が展示され、とても見応えがあった。

大雑把に言えば、1970年代は選考委員に三島由紀夫や大江健三郎がいたことからも伺えるように、非常に作品がシリアスで、文学的。世界が都市と農村とにざっくりと切り裂かれていく光景・感覚が、どの作品にも存在しているように思えた。

しかしながら80年代に突入すると、とたんに作品はコマーシャルな傾向を強くし、動物写真とか、南国の風景とか、突如「無害な」ものへとシフトしていく。70年代に対する80年代の反動というものは、かなりのものだったんだなぁ、と感じた。シリアスさ、泥臭さ、文学的なるものへの、徹底した反動。そして90年代。というか、98年のホンマタカシ以降、郊外の風景と女の子についてのポートレイトが爆発する。郊外と女の子の時代。

個人的に一番魅了されたのは、1979年に受賞した、倉田 精二氏の「ストリート・フォトランダム 東京75-79」。当時の池袋のストリートにいる人々をアグレッシヴに撮った作品群にはやられた。路上で抱き合うカップルと、ボーリングのポーズをする女性。風俗店で休憩する女の露になっている上半身や、小さな浴場のまわりに溢れんばかりの薔薇を飾りたてている、入浴中の女。どのショットも受け手の瞳孔を突き刺し、もはやそこから逃れられないような、そういう力を持った彼女達の瞬間。