
欧州最優秀選手(バロンドール)にロナウジーニョが輝いた。いつもは票がわれたり、賛否両論になったりするのだけど、今回は満場一致、という感じが強い。その、ブラジルの快楽主義の体現者、ロナウジーニョのプレーはFCバルセロナ×レアル・マドリー戦、伝統の「エル・クラシコ」でも光っていた。またしても、変態的超絶技巧。そしてあの笑顔。レアル・マドリーの「かつて」のスター達は本当に普通の不器用なオッサンに成り下がっていた。ロナウジーニョの光るプレーと出っ歯と笑顔の前では。ベッカム?、誰それ?といった感じ。
にしてもロナウジーニョは本当に凄い才能だ。ブラジルにおけるここ10年間で最も技術的に優れている才能だと思う。ペレ以降の、リベリーノ、ジーコ、シーラス、ライー、ロマーリオ、エジムンド、リバウドといったクラッキ(名手)達と較べても、彼はワンランク上のプレーヤーなのでは、と思わせる超絶テクニック。それはもはや変態的、とさえ思わず形容してしまうような、相手DFの瞳の奥底にある恐怖心を瞬時に見抜き、身体でそのまま直感的に表現してしまう才能。あらゆるチーム戦術を無効化させるその超絶テクニックは、チームメイトと相手チームの全てのプレーヤーを、一つのボールにつられる群集と化させてしまう。彼がボールを持ったとき、世界の仕組みが根底から変わってしまうのだ。
それに、というか、これが重要なんだけど(笑)、ロナウジーニョの、あの、笑顔。これに皆やられている。彼の前任者であるリバウドのあの陰鬱な表情がより彼の笑顔と前歯を輝かせている(笑)。強靭なフィジカルと鉈のような左足が特徴のリバウドのプレーは、いつも孤独に見えた。評論家やサポーターから全く得られない愛情と引き換えに、得点という結果のみでの哀しき抵抗。言うならば、彼は快楽の少ないプレーヤーだった。ブラジルという快楽主義的な国の背番号10のプレーヤーとしては、あまりにもミスキャスティング。ロナウジーニョ以前は、ブラジルにとって間違いなく冬の時代だった。けれども今ではノールックでフェイントを何重にかけながら、一対一に果敢に挑んでいく、あのサンバのようなダンスステップを僕らは観ることが出来るのだ。
選手の資質的な部分からロナウジーニョを見れば、ドリブル主体のプレーながらも常にシュート、パス、といったプレーの選択肢をギリギリのタイミングまで持っていて、プレーゾーンもかなり広範囲なことが挙げられる。ある程度のタフさとスピードを兼ね備えているから、サイドよりのプレーも可能なことが大きい。常にトップ下オンリーのポジションでしか生きない選手ではなく、左サイドから中央、そしてトップ、と自在に両足を駆使しながら危険なエリアに踊るように侵入する。見ていて自然とうはは、と笑ってしまう楽しさ。ゲームメイカーではなく、ゲームブレイカー。もはや彼はディエゴ・マラドーナ以降の最高の才能なんじゃないだろうか。ファンバステンやミッシェル・プラティニよりも上だ。
このエル・クラシコにおいても彼は超人的なプレーを披露。やや左よりでボールを受け、一気に加速して2人を交わし、ゴールネットに突き刺すこと2回。鮮やか過ぎ。この2つのゴール、全く同じプレーの反復で、一つのゴールシーンをリプレイした、と言われたとしても一瞬わからないくらいだ。相手DFはほとんど身体にチャージもできず、絶望に表情を歪めるだけ。今、間違いなくロナウジーニョの時代だ(小島)。
