どうもこんにちは。皆様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。
今年一年を振り返ると世の中いろいろなことがありましたね。振り返るときりがありません。映画もたくさんありました。観た映画のことを振り返るときりがないのですが、今年観た映画の中で、リメイクものに限定して軽く振り返ってみたいと思います。いや、リメイクものでも多すぎるので、ここはホラーに限定することにします。今年観た、ホラーのリメイクものを振り返ります。そういうことでよろしくお願いします。
『オーメン』は、主演のイギリス大使が深刻な程度においてまずいという印象を持ちました。おにぎりみたいな滑稽な顔で、オリジナルのグレゴリー・ペックと比べようがない。顔は非常に重要ですね。基本的にオリジナルの前では最高にどうでもいい映画ですが、ひとつだけ面白い点があるとすれば、乳母役がミア・ファローであることでしょう。『ローズマリーの赤ちゃん』で、悪魔の子を孕んだと大騒ぎしていた若妻が、30年の歳月を経て、ここでは、悪魔の子の乳母を粛々と務めます。このミア・ファロー、熟成30年という風格です。このキャスティングだけは感心しました。
『ザ・フォッグ』は、ジョン・カーペンターのリメイク。霧の中から100年前に殺された移民の幽霊が現れて、港町の住民の子孫に復讐をするという話です。オリジナルは、幽霊たちは刃物や鋭器を振り回し、美女から蹴りを受けると転んだりして、黒沢清の指摘するように、幽霊というよりもぼろきれを纏った暴漢にしか見えませんでした。その点、リメイクの方はCGを駆使して亡霊が亡霊らしく描かれているという点、語りで済ませていた100年前の移民の悲劇が映像化されているという点がよいと思います。しかし肝心の神父の存在が非常に小さい扱いになっている点が致命的です。オリジナルの神父は「先祖の罪を、私が償うのだ」という気概を持って殉じますが、こっちの神父はずっと酒浸りで、何考えているかろくに口に出さないうちに殺されてしまうのでした。本来、リメイクの意義は換骨奪胎にあると思いますが、これではただの骨抜きにされてしまった感があります。
『PULSE』は、黒沢清の『回路』のリメイクです。飛び降り自殺、ジェット機墜落など主な見せ場は殆ど再現されていますが、こちらは逆に幽霊が物理的な怪力でもって襲い掛かってくるようになっている点が非常にまずいでしょう。黒沢清の描く幽霊は、「何もしなくても、ただそこにいるだけで怖い」ものでした。殊更に刃物や鋭器を振り回したりせず、ただ其処に居る。でも目があっただけで致命的にまずいという感じ。その点、こっちの幽霊は、コインランドリーの乾燥機の中でもみくちゃになりながら大騒ぎしたり、車の屋根に上ってフロントガラスをばんばん掌で叩いたり、カーブで振り落とされたりしますから、観光地の猿みたいです。バナナかみかんをあげたらおとなしくどっかに行くのではないかという感じです。とにかく幽霊を猿のように描いてしまった以上、人と幽霊の境目を曖昧にさせるというオリジナルのテーマ性は跡形もありません。
最後にニコラス・ケイジ主演の『WICKER MAN』。少女の失踪事件を調査しに、ある島を訪れた警察官が、奇妙な島民に翻弄される話です。オリジナルは、歌と踊りがあったのですが、こっちにはありません。その代わりに、ケイジ扮する警察官には無駄なトラウマが付与されています。歌と踊りがないので、ただの陰惨な映画でした。
来年はもう少しましなホラーのリメイクが観られるといいですね。
それでは皆さんよいお年を。
little fish
