地震と液状化現象と幽霊とのコンビネーション
黒沢清『叫』を観る。作品における物語の構造に向けたモチベーションが非常に大きく、『LOFT』のような混沌とした感触はない。『LOFT』は思わず爆笑してしまうシーンがいくつかあったけど、みんな笑っていなかったことを覚えている。物語の展開は非常に微妙な作品と言っていいかもしれない。構造と細部という相反する要素の両立の完全なる放棄。映画においては物語の構造よりもワンカットの強度が勝る瞬間がある、と黒沢さんは言っていたけど、まさしくそういった彼自身の意志がこの作品の中に詰まっていた。
それに対して『叫』は最後まで物語のモチベーションは失速することなく、ラストシーンまで緊張感は途切れることはない。作品の途中で物語とイメージが乖離し、拡散していく、という展開にはならない。が、そういった物語の展開とホラーの表現がちゃんとマッチしていないと思う。細部においてずっこけがある。というか、葉月里緒菜(だけ)が痛かった。まだ『LOFT』はそういうことは割切って混沌自体を楽しんでしまおう、という雰囲気があったが、今回はそういったゆとりはなく、緊張が持続する分だけ、葉月里緒菜の赤い服がやけに目立ってしまう。とは言いつつも、地震と液状化現象と幽霊とのコンビネーション、というのはやはり面白い(『CURE』もそうだったけど)。鏡を使ったシーンも素晴らしかった(小島)。


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