
今年は今までの人生の中で一番料理をした年だった。「今の世の中、詩があるのは料理くらいだ。料理をつくるこころには詩がある」。これは花森安治の言葉なんだけど、全くその通りだと思う。それに、料理をつくることは癒される。そこには純粋な善しか存在しなく、誰かにこれからつくるものを食べてもらう・あるいは自分自身で食べる。という以上でも以下でもなく、他人を裏切ったり苦い想いをすることもない。そういった意味では、家で料理をつくるということは詩的な癒しなんだと思う。
とは言え、やはり料理をつくることに毎日それほど時間をかけられるという訳でもない。例えば2~3時間たっぷりと手間隙をかけ、思慮深く、それでいて繊細な皿の数々をテーブルに並べるべくキッチンで格闘する、ということはなかなか難しい。プロフェッショナルであるなら別だが、今までも、これからも、僕は永遠のアマチュア・コックであり続けるだろう。そんなアマチュア・コックに必要なものは優れたレシピ集である。インターネットで検索すればつくりたい料理の膨大なレシピが検索できるが、やはり僕はレシピ本を眺めながら料理をつくるのが一番いい。完成された綺麗な料理の写真を見ると、料理に対するイメージが湧くし、本だからキッチンまで持ってこれてチラチラと見ることが出来る。
僕の今年最大のヒットは『15分でフランス料理』(宮内好江著:文化出版局)だ。非常に高度なテクニックが必要とされ、なおかつ調理の時間がかかるとされるフランス料理を、15分でシンプルにつくることが出来るレシピ集になっている。この本の冒頭において宮内好江さんも書かれているが、フランス人にも家庭があり、毎日をめちゃくちゃ凝りまくって食事をつくっている訳ではない。ここには、彼らフランス人達が毎日の普段の食事としてつくられるメニューのレシピがある。例えば、長ねぎのカマンベールソース、ホワイトアスパラガスとポテトのサラダ、鴨肉のマーマレードソース…どれも15分で出来上がり、しかもとびきりに旨い、立派なフランス料理だ。
フランス料理は、いや、日本料理もイタリア料理も中華料理もそうだと思うけど、料理の基本的な工夫というのは、素材のコンビネーションにある。実際野菜を切り、肉を焼き、ソースをつくると、それがよりリアルに感じられる。1+1を2にも3にもする工夫。あるいは、ちょっと合いそうもない素材のコンビネーションによる、味のインパクト。そういったコンビネーションから生まれる新しい発見や面白さというのは、全てのクリエイティブな営みの基本だろう。料理的な思考によっていくつかの要素をコンビネーションすることにより、目の前の視界はいつもよりクリアになるんじゃないかな。世の男達に告ぐ。面白いものをつくりたいと思うなら、レシピ本を買い、料理をするべきだ。忙しいとか言っちゃいけない。この本を買えば、15分で料理のコンビネーションのプロセスを体験することが出来、なおかつ旨い料理を食べることが出来るのだ!(Kojima)
